パートナービジネスキーマンインタビュー ウイングアーク1st株式会社 中原新平氏

2024/8/13

ハイウェイでは、「パートナービジネスのキーマンインタビュー」と題して、各企業のパートナービジネスのキーマンから、パートナービジネスの立ち上げや組織作りに、どのようにして取り組んできたのかをお伺いしています。

第三回は、ウイングアーク1st株式会社のパートナービジネスについて、営業本部 アライアンス統括部 Partner Development部 部長の中原 新平様にお話をしていただきました。

本インタビューでは、中原様にウイングアーク1st株式会社のパートナービジネスの歴史や現在注力されている領域、今後の施策などをお伺いしていきます。

経歴について

まずは中原様がパートナービジネスに関わるようになったきっかけについてお伺いしても良いでしょうか?

私は、新卒3期生としてウイングアーク1stの前身であるウイングアークテクノロジーズ株式会社に入社しました。

当時はパートナーセールスという言葉は一般的ではなく、営業職として入社しダイレクトセールスとパートナーセールス両方の業務を担当していました。

大手のパートナー、中堅のパートナー、エンドユーザーそれぞれを営業がフォローをする仕組みでしたが、新卒にはあまりいい案件が回ってこないので(笑)、展示会やセミナーで自らリードをとりにいく活動がメインでしたね。

セールスとしては、最後に当社の重要なパートナーの1社であるNEC様を担当し、その後は巡り巡って今のアライアンス統括部でテックタッチ支援の立上げなど、パートナービジネス強化に関わる全体戦略の立案と推進を担っています。

ウイングアーク1stのサービスについて

ウイングアーク1stのサービスについて簡単にお伺いしても良いでしょうか?

ウイングアーク1stは、市場でNo.1のシェア(※1)をいただいている帳票基盤ソリューションの「SVF」と電子帳票プラットフォームの「invoiceAgent」、データ分析の基盤となる「Dr.Sum」とBIダッシュボードの「MotionBoard」、コミュニケーションプラットフォームの「dejiren」が主力サービスで、帳票・文書管理とデータ活用領域の2つの領域でサービスを展開しています。

それぞれが違う領域のサービスに見えるのですが、ツールを連携することでさらにデータ活用を推進いただけるようになっています。

※1 出典:デロイトトーマツ ミック経済研究所株式会社発刊 ミックITリポート2023年11月号「帳票設計・運用製品の市場動向 2023年度版」図表2-3-1 【運用】製品/サービスのベンダー別売上・シェア推移 2022年度実績

パートナービジネスの歴史について

そもそもどういった経緯でパートナー制度が立ち上がったのでしょうか?

最初のプロダクトであるSVFの販売を開始した当時は、パートナービジネスには着手しておらず、直販営業に力を入れていました。

その背景として、SVFはミドルウェアと呼ばれる製品で、開発の生産性を上げることがコアバリューです。日本のIT産業の構造を考えると、実際にプロジェクトで製品を利用するSIerへアプローチする方が適切に思えるかもしれませんが、

プロダクト立ち上げ段階は、直接お客様の声を聞いて、徹底的に製品を育てました。

まずはお客様に価値を感じていただき、お客様から「SVFを使いたい!」とSIerに対して指名してもらえる状態を作る必要があると考えて、広告や展示会への積極的な出展等のマーケティング活動とダイレクトセールスに専念をしていました。

と言いつつ、実はSIerへも協業を持ちかけたのですが、開発生産性の高いSVFを利用することはSIerのプロジェクト総売上が小さくなってしまうこともあり、取り扱いを敬遠されることが多かったため、エンドユーザーへアプローチせざる得なかったのが実情です。

ありがたいことに、その後、お客様から製品指定されることが増え、敬遠されたパートナーからも取り扱いたいとリクエストが来るようになりました。

パートナー企業の取り扱いが増えたタイミングで、制度としての仕組みを作ったのがWARP(WingArc1st Relationship Platform)です。

WARPは前身のウイングアークテクノロジーズが創業した翌年の2005年に立ち上げ、その後2019年に大幅な改訂、今年で19年目のパートナー制度です。

WARPの改訂はなぜ行われることになったのですか?

DXによるビジネス部門のデジタル化などエンドユーザーが期待する提案や関係性の変化、クラウドが加速することで受託SIの需要が減るなど、当社の中心的なパートナーであるSIerに事業変革が求められることを想定し、パートナービジネスの戦略見直し、伴う制度変更が必要になりました。

自分たち自身の成長はもちろん、パートナー様の成長にも寄与することで社会に貢献したいという想いでWARPのビジョンも見直しました。『WARPはパートナー様とWingArc1stの相互成長や相互ビジネスの発展に留まらず、共に市場を開拓し社会課題を解決することで豊かな未来を創造していくことを目的としたパートナープログラムです

また、制度改定の一例として、「データ活用」や「クラウド」はユーザーにとっても、パートナーにとっても重要な位置づけになると考え、当時は取扱いが限定的だったBI系商材、クラウド商材も全てのパートナーに取り扱っていただけるよう変更しました。改定前は多くのパートナーが帳票系の商材のみを扱っていましたが、全商材を扱えるようになったことで、拡大するデータ活用ビジネスやクラウドビジネスに対して、いち早くパートナーが対応できるようになり、パートナー企業のビジネスの糧にしていただけたのでは、と感じています。

もちろん、メーカーとして、商材を跨いだプロダクト連携を強化してきたことで、提案のしやすさなどに繋がったかと。それ以外にも、販売仕切り以外のベネフィットや売上という成果だけに留まらない協業評価項目なども同時に組み込むことで、多様なパートナーに活躍いただける環境を整えました。

現在、WARPに加入するパートナーが多くいらっしゃると思いますが、パートナーはどのような経緯で増えていきましたか?

現在500社を超える企業に参画いただいているWARPですが、パートナー数増加の中での大きな転換点は、新たなプロダクトであるMotionBoardの誕生と各サービスのクラウド化ですね。

それまでのウイングアークのパートナーは完全にSIerがメインだったんですよ。しかし、MotionBoardという製品は、業務現場で利用いただくソリューションになっており、営業部門や製造業の工場現場などで使われることが多かったんです。

そうなると、ツール導入の意思決定者が情報システム部ではなくなってくるので、業務現場と接点を持ち、提案が出来るパートナーとも組む必要が出てきました。

また、当時はクラウドという概念自体は一般化しておらず、SIerはクラウドを販売すべきかどうか様子を見ていた時期というのもあります。

このタイミングで、SIer以外のパートナーとタッグを組むことが増えていきました。

例えば、当時クラウドの浸透を牽引していたSalesforceさんとタッグを組んで、Salesforceのパートナーに弊社のパートナーになってもらうような取り組みなどを進めていました。

パートナー数が増える中で、売上の増加は苦戦しませんでしたか?

このMotionBoardなど、第二、第三の矢となる新たなプロダクトや全製品のクラウド化の取り組みがしっかり軌道に乗ったことが売上に大きく貢献をしたと考えています。

実際、クラウドサービスの立ち上げ初期はかなり苦労をしました。当時の弊社メンバーもクラウドの商習慣に慣れていないため、当時の子会社だったバリオセキュア社に森脇(現執行役員CRO)が出向する形で立ち上げました。

MotionBoardは初めは「色んなことができるダッシュボード」だったので、それが逆に価値訴求が難しいと言う状況でした。ですが、先ほどお話ししたSalesforceさんとの取り組みで連携ツールのリリースや積極的なアライアンス活動により特定業務や業種など具体的な活用事例を拡充することで、いわゆる物売りからコト売りへ進化していくことで成果が出るようになっていました。そこで出てきた勝ちパターンを横展開をすることで、他のパートナーとの取り組みでも成果が出るようになり、売上が拡大しました。

また、SIer以外でも複合機メーカーや販社さまとは以前から取り組みも進めていましたが、あまり積極的に扱ってもらってはいませんでした。

その後、彼らの経営戦略に我々のサービスがフィットするようになってからは、少しずつ取り扱い規模が拡大していきました。

おかげで、その後も売上はトップラインを更新し続けておりまして。その背景には、第四の矢となるinvoiceAgent(旧SPA)が立ち上がったこと、WARP制度の改訂やアライアンス組織の貢献があるかなと思っています。

先ほども軽くお話ししましたが、WARP制度の改訂前は帳票とBIの棲み分けがはっきりとしていたため、制度を改訂したことでプロダクトの連携を意識した動きが促進されました。

また、アライアンス組織を作ったことで、横串の組織がうまく機能して行ったのではないかなと思います。

アライアンス組織の役割やミッションについて教えていただいても良いでしょうか?

アライアンス統括部は2019年に現営業副本部長の横尾が立ち上げました。当時はパートナーごとに担当営業を配置していましたが、横断的に見る役割やアライアンス戦略を考える役割のメンバーがいなかったんです。

営業は自分の担当パートナーに注力した動きをするため、全体の成果に寄与する戦略や施策は後回しになっていたんです。この部分に時間をかけることが出来るようになったのは、アライアンス組織が立ち上がったからこそですね。

アライアンス組織主導で取り組んでいることにISV Scrum(アイエスブイ スクラム)があります。

これは、様々なソフトウェアベンダーとの連携を強化する取り組みで、この取り組みによって連携ツールが増えてGTM(Go-to-Market)しやすくなったり、パートナーがエンドユーザーにアプローチするきっかけになったりします。

現在は弊社サービスの周辺領域でシェアを持っているベンダーとアライアンスを組んでいます。

例えば、コンテンツクラウドである「Box」と連携した「invoiceAgent Adapter for Box」があるのですが、この連携機能があることで双方の既存ユーザーにアップセルの提案をすることができるようになります。それは、ウイングアーク1st、ソフトウェアベンダー、提案をするパートナーの3社、すべてにとって売上アップの機会になります。

もちろんエンドユーザーにとっても、利用サービスの価値や利便性をを向上させることにつながるわけです。最近では「nest」という弊社のユーザーコミュニティでも、ユーザーからISV Scrumでの活用事例や導入効果を語っていただくことが増えており、とても嬉しい限りです!大きな会社になればなるほど、1つの業務を1つのソリューションで解決していることはほとんどありませんので、エンドユーザーに喜んでもらえるよう、パートナーとの協業による付加価値創造をこれからも強化していきたいです。

取り組んでいる施策は他にも色々ありますが、アライアンス統括部のミッションはWARP運営、WARP活性化、あとはアライアンス先の開拓とそれを活用したGTM戦略の立案・施行ですね。

過去にWARPに加入いただいたものの残念ながら売上に結びつかないパートナーが100社近くいました。その企業の再アクティブ化を狙って、テックタッチ支援の強化やWARP Scrumという取り組みも進めています。

WARP Scrumは、ITマーケットのSE不足という課題を解決するために、当社製品の開発・構築スキルを持っているパートナーと、案件はあるもののSEが不足しているパートナーをマッチさせて、双方にメリットを提供するという仕組みです。

アライアンスのパートナーのアクティブ化も苦戦する話をよく聞きますが、どのような取り組みをしていますか?

前提として、お互いのパートナー部門だけで盛り上がって終わらないように、双方の経営側を巻き込んで、アライアンスの価値を認識してもらうようにしています。

その上で、しっかりとベンダーにも担当をつけて定例MTGをやるという基本的なことですね。定例MTGでは、お互いの販売パートナーを具体的にリストアップして、それを元にアプローチ戦略を作っていきますが、お互いの提供する価値や共通のターゲットが明確になっているかが重要だと考えています。

また、アライアンスではなく販売パートナーとの取り組み事例にはなりますが、優秀な事例の表彰や個社別のセールスコンテストは定期的に開催しています。

ノウハウのシェアやモチベーションアップはもちろんですが、このイベントで現場で実際にお客様に販売・提供をしてくれている方と接点を作ることができるので、社内でもかなり重要度の高いイベントになっています。

今後のパートナー戦略について、考えていらっしゃることがあれば教えていただいてもよいでしょうか?

我々の中期経営で2027年の売上目標があるんですが、これまで通りの積上げでは達成が難しいと思っています。

なので、今のコアとなるパートナーとの成果を最大限伸ばしていくために、パートナーとビッグピクチャーを作る、というのを徹底していこうとしています。例えば、5年後にはこのくらいの売上を作って、〇〇な世界観を一緒に作りましょう。とかそういう視座を上げる話をパートナーと作っていくということですね。

その中で、国内のマーケットだけでなく海外も含めた協業の強化なども視野に入れ、これまで以上に積極的な取組みを進めています。

さらに、次の20年の成長も…と考えると、エンドユーザーの海外の事業成功をサポートすることも必須と考えています。

そうなると、当社自体も海外に力を入れていく必要があると思っており、中長期ではグローバルでも通用するパートナーエコシステムを作っていくつもりです。

また、短期的にはパートナーが今の時点で課題に感じていることを解消するためにも、先述のWARP ScrumとEntry(開発パートナー)の成功やデータを最大限活用したパートナーイネーブルメントの強化に取り組みます。

パートナービジネスの組織について

パートナービジネスの組織に関して、こだわりや今後の構想などはありますでしょうか?

今、営業組織としてチャレンジしているテーマとして、直需創造というのがあります。これまではパートナー企業が売上の大半を担ってくれていましたが、競合製品が多いBIやinvoiceAgent、また、今後も積極的にリリースする新しいプロダクトの販売を増やすためには、販売方法の確立や自社メンバーの営業・提案力向上が必須となります。

パートナー企業に頼るだけでなく、自社で創った商談をパートナーさんにパスする、習得した販売ノウハウを提供するような動きを強化したいと思っています。外資系企業が取組んでいるようなメーカー側から直接需要を創造し、パートナーに案件を渡すフローを確立していきたいです。

ここから派生して、パートナーの個性や特色を発信するなど、パートナー自体をマーケティング・プロモーションすることも進めたいと思っています。これらを強化することでパートナーの事業成果に貢献出来ると考えています。

中原さんから見て、パートナービジネスで活躍する方ってどんな方でしょうか?

一言で「パートナービジネス」や「パートナーセールス」と言っても、役割の定義が難しいですよね。

その上で、セールスの側面から見ると、フロントとしての愛嬌とサービスを売り切る力は必須だと思っています。加えて、目の前のお客様(担当者という人)を喜ばせたい・幸せにしたいという「顧客思考・カスタマーサクセス思考」は外せないかなと。この思考が強い方は自考し、自走できるためダイレクトでもパートナーでも活躍できています。

一方で、パートナーセールスならではの求められるもので言うと、中長期の目線ではないかなと思います。パートナーセールスは1件の成約よりも、中長期でどれだけ成果を挙げられるかが求められ、そのための変数が多いんですよね。なので、成果を出すためにやれることもやらないといけないことも多くて、総合格闘技と表現する方もいたりします。

個人的にもパートナーセールスという言葉は、うまく表現しきれない部分があり、もっと面白い職種と伝わりやすい良い言葉を作りたいと思っていますね。

少し前に、社内で職種の定義を考える機会があり、その時は事業開発セールスという表現をしましたが、もう少し考えます。(笑)

この記事を読んでくれている方に伝えたいことはありますか?

私たちは「データ活用で世界を笑顔に」という営業ミッションを掲げています。パートナーというファミリーとともに、世界中のエンドユーザーを笑顔にしたいという想いに共感いただける方はぜひ一緒にお仕事しましょう!!パートナーセールスはもちろん、様々な職種で募集中です。

・ウイングアーク採用サイト

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