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PRM(パートナー・リレーションシップ・マネジメント)が代理店営業で求められる理由。課題からツールの主な機能を解説

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2023/11/02

PRM(パートナー・リレーションシップ・マネジメント)が代理店営業で求められる理由。課題からツールの主な機能を解説

近年、PRM(パートナー・リレーションシップ・マネジメント)という概念やツールが注目を集めています。

海外ではメーカー(ベンダー)と代理店との間で良好な関係を築くためのこの考え方やツールが浸透しており、Grand View Research社のレポートによると、PRMの市場規模は2021年の段階で約628億ドルに達しており、その後2028年にかけて年平均成長率(CAGR)が16.2%で成長すると予測されています。

またCanalys社の調査によると、2023年現在、38社ものPRM製品を提供する企業が存在し、7億1,000万米ドルの収益をあげているとされています。

※画像の引用元 https://twitter.com/Canalys/status/1737034737577775561

※画像の引用元
https://twitter.com/Canalys/status/1737034737577775561

しかし、日本でのPRMの認知度はまだまだ低いのが現状です。その背景には、メーカーと代理店とのコミュニケーション手法の複雑化や、上下関係の存在といった日本特有の構造的課題があります。結果として、パートナー契約を結んだものの関係構築がうまく進まないことも少なくありません。

本記事ではPRMという手法や「PRMツール」について解説し、みなさまがパートナーとの関係構築のお役に立つ情報を提供します。

PRM(パートナー・リレーションシップ・マネジメント)とは?

PRMとは、「Partner Relationship Management(パートナー リレーションシップ マネジメント)」の略で、ベンダー(メーカー)が代理店と良好な関係を構築するための経営手法やそれらを実現するためのツールを意味します。

似た概念として、CRMという、Customer Relationship Management(カスタマー リレーションシップ マネジメント)の略で、「顧客関係管理」といった意味合いのものがあります。

CRMは、企業が顧客と信頼関係を作り、接点を持ってから購入、リピートに至るまで活動を行い、顧客と企業双方にとって利益を向上させる経営手法とそれらを実現するためのツールを意味します。

CRMが顧客に対して信頼関係を構築するものに対して、PRMはパートナーに対して信頼関係を構築するものになっています。

PRMの具体的な手法として、販売支援やトレーニングなどの提供があり、代理店ビジネスの売上を最大化するように支援をします。

ベンダーと代理店の関係における課題

しかし、他社とのパートナーシップ構築は、事業上の共通目標を成功させるために、商材から事業戦略まで幅広い情報をシェアしていくことが欠かせず、密なコミュニケーションを必要とします。共同での戦略立案や案件の進捗管理、販売チャネルの最適化など、その関係性を最大限活用するのはリソースや管理コストの点から難しいという問題がありました。

例えば、従来の代理店との関係性において、メーカーは以下のような課題を抱えてきました。

  • 各代理店、代理店担当者の情報を細かくデータ管理や共有できていない

  • データが貯まらないために、成果の確認やデータ分析が行えていない

  • 一方的な発信に終始しており、双方向のコミュニケーションになっていない

  • コミュニケーションがアナログで関係性も属人化している

  • 担当者によって製品知識にバラツキがあり、一部の売れる営業に依存してしまっている

  • 代理店担当者の能力向上など、一人ひとりの個別フォローができていない

そうした背景から生まれたのが「PRMツール」です。ベンダーがパートナーのパフォーマンスデータや活動履歴を一元管理し、パートナーの行動を把握。販売リードの状況や進捗状況をリアルタイムで追跡できることで、ベンダーは売上予測や向上施策を打ちやすくなります。

また、企業は各パートナーの特性を理解し、個々にあわせた最適なサポートやリソースを提供することが可能となります。パートナーへのトレーニングと教育、新製品のデモや営業テクニック、ブランドポリシーなどの情報をパートナーに提供できます。新製品やプロモーションの情報を迅速にパートナーに伝えることが可能なだけでなく、パートナー側も市場のフィードバックや顧客のニーズを企業に伝えることができます。

またツールの採用により、マーケティング戦略の調整や販売チャネルの最適化など、ビジネスプロセス上の連携時のコミュニケーションを一元化できます。プロジェクト毎のタスク管理や進捗状況の監視、データの分析も一つのプラットフォーム上で可能になるメリットがあります。

例えば、「Allbound PRM」というツールでは、マーケティングや販売、サポートなどの業務を一元化。マーケティング資料や販売支援ツールを代理店パートナーと共有する機能を提供します。プラットフォーム上でアカウントマッピングからトレーニング、インセンティブの会計処理や支払いまでを完結させることで、協働を推進します。

関連記事:【2024年最新】世界の代理店管理システム・ツール(PRMツール)30選

PRMツールの代表的な提供機能

現在のPRM製品は、以下の機能を提供することが多いです。

  1. 代理店募集機能

  2. 代理店オンボーディング・イネーブルメント機能

  3. 代理店コンテンツ共有機能

  4. 代理店案件管理

  5. 代理店情報の管理機能

  6. 代理店のインセンティブ(手数料)やMDF(販促費用)管理

代理店の募集・開拓し、育成し、管理という代理店営業のはじまりから拡大までのサイクルを広くカバーする機能提供となっています。

また、PRM製品は社内で直販の営業管理を行うためのSFAやCRMツールとの柔軟なデータ連携ができるよう設計されているツールが多いです。

PRMツールの導入メリット

代理店やパートナー企業との関係性を強化するPRMツールの導入には様々なメリットがありますが、大きくは

  1. 各パートナーの理解促進(代理店プロファイルの管理や、組織やキーマン情報の管理)

  2. 多数のパートナーに適切な情報をリアルタイムに共有(パートナーポータル機能)

  3. 新規の案件創出に向けた営業連携の強化

に分けられます。

弊社製品の「ハイウェイ」も、販売パートナー様との関係と営業連携の強化を支援するPRMツールとなっていますので、気になる方は是非資料ダウンロードしてみてください。

PRMとCRMツールの違い

CRMとPRMの違いについて詳しくご説明します。

CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、顧客関係管理のことを指します。PRMが対代理店であるのに対して、CRMは対エンドユーザーに対して使われる概念です。直販で用いられる場合が多いため、ご存知の方も多いかと思います。
CRMとPRMでは、自社と利益源との関係構築という意味合いでは共通しています。

しかし、「価値を提供する相手」である営業顧客と「共に価値創造する相手」である営業パートナーでは、関係性を構築する方法は異なります。自社との関係性構築にあたって、相手にどんなメリットがあるかを代理店・顧客で分けて考えましょう。

CRMでは、商材を顧客に導入してもらうことでいかに顧客が価値を感じられるかが最重要条件です。そのため、顧客のニーズを察知しそれに合った価値を提供できるようなコミュニケーションが求められています。

一方で、PRMはCRMよりも密なコミュニケーションと、共創する姿勢が求められます。代理店はベンダーの事業の将来性や実現する未来に共感することがモチベーションになり、事業の成功のために尽力する傾向にあります。そのため、ベンダーの商材だけでなく事業戦略などビジネス全般を共有し、代理店に共感してもらえるようなコミュニケーションが必要です。

「主従関係」を前提としたツールからの脱却へ

従来の日本におけるPRMツールに搭載されている主な機能として、「代理店ポータル」がありました。企業が提供する製品やサービスの情報を効率的に共有するこのツールでは、販売情報、製品更新、マーケティングキャンペーンなどの重要な情報をリアルタイムで共有可能です。また、オンライン研修やウェビナーを提供し、代理店のスキルアップを支援する役割もあります。

また、それに加えて業務管理の機能では、受注管理や在庫管理、納品スケジュールの確認、売上報告などの業務を一つのツールに一元化。ビジネスプロセスを円滑化しています。

こうした需要からPRMツールは数多く存在していますが、課題もあります。それは、とりわけ日本では、メーカーと代理店の間にある主従関係を前提にツールが使われるという点です。

「パートナー」という名前が付く通り、本来はお互いに共感と納得をもって協力しあう関係性が最も理想的です。しかし、PRMツールは「代理店に対して資料を置く場所」という使われ方になっているケースも多くあり、ポータルには資料がアップロードされるだけで、メーカー側の一方的に情報発信という側面が大きく、双方向のコミュニケーションになりきれていないという課題がありました。

さらに案件管理機能なども、代理店がメーカーに案件の進捗報告をするという、非対称的な関係を前提としたツールになっていました。つまり、ベンダーが代理店をマネジメントするものであり、代理店側が求めるツールにいまのPRMがなりきれていないという課題があります。

PRMの取り組みとポイント 

マーケティングや営業には、リードの創出から提案商談、クロージング、契約管理といったフェーズがあります。同様に、パートナービジネスや代理店営業においても、代理店の開拓からオンボーディングなど具体的な業務や課題はさまざまなフェーズに分かれます。それぞれのフェーズにおいて、代理店が求めるものや、代理店営業が支援すべき内容は異なるため、現在自社がどのフェーズの支援を行うべきかを改めて整理することが重要です。以下では一般的な代理店営業のフロー、業務や課題のポイントを整理してみました。

STEP0:代理店戦略の策定

このフェーズでは、代理店に取り組むかどうかを含めた戦略設計が行われます。国内のSaaS企業などでは、直販営業が主体でありながら、中途半端に代理店営業に取り組んでしまったり、代理店の数だけに固執する誤ったKPI設計をしてしまう企業が多いです。自社のPMFの状況やパートナービジネスに取り組む目的を明確化し、経営のコミットメントを示し、適切なKPIを設計・運用することが必要です。

STEP1:代理店開拓

ABM(Acount Based Marketing)や新規開拓営業で重要視されるように、代理店を開拓するフェーズでも、IPP(Ideal Partner Profile)と呼ばれる、自社にとって理想的なパートナー像を定義することが重要です。お互いの顧客像の調整や、自社、パートナー、エンドユーザーにとってのパートナーシップの価値提案について議論することが重要です。

STEP2:代理店オンボーディング

代理店契約を締結した後は、代理店側の営業担当者が自社の商材やソリューションについて深く理解する必要があります。新しい営業メンバーをオンボーディングする際のように、代理店全体ではなく、個々の営業担当者のサポートにも意識を向けることが重要です。

STEP3〜4:アクティブ化、再現性の確立

勉強会を実施し、「案件があればご連絡ください」と伝えるだけでは、その後なかなか案件が発生しないことがあります。代理店に提案案件の創出を任せるのではなく、ターゲット企業との調整や、提案支援の同行などを通じて、成功体験を積んでもらうことが重要です。自社の商品を代理店がアクティブに営業するためには、一人ずつ仲間を増やし、その成果を共有することが重要です。

″双方向″のPRMツールが「パートナーエコシステム」の実現につながる

アカウントマッピングの解説記事にも記載したように、今後のPRMツールは、メーカーと代理店の双方向コミュニケーションが大切になります。パートナー契約を結んだ先が本当にお互いに利益を生み出せる相手であれば、ともに信頼関係を構築し、顧客名を教え合うほど「手の内を見せ合える」関係性で営業活動を進めることが最も効率的だからです。それゆえ、代理店側も情報発信が可能だったり、お互いが疑問やナレッジ交換ができたりと、協調しあえる設計が重要になるのです。

ツールのエンゲージメントを高めるためには、閲覧時に有益な情報・資料があること、必要な支援が得られることが大切になります。

その上で、機能には代理店とメーカー双方のニーズを満たすものが幅広く必要になります。リード管理からコミュニケーションの一元化、パフォーマンス分析まで、企業の具体的なニーズに対応できる機能があるかどうか。また、既存のCRM(Customer Relationship Management、顧客関係管理)やSFA(Sales Force Automation、営業支援システム)などのツールとシームレスに連携できるか、カスタマイズ可能かなど、柔軟性も重要な要素です。このようにしてPRMツールは、企業とパートナーとの連携を円滑にし、長期的な企業の利益伸長につながります。

メーカーと代理店のよりよい関係性の先にあるのは、「パートナーエコシステム」という考え方です。「パートナー」と言いながらも、その実はマネジメント“する側” “される側”という公平ではない構造が生まれてしまう──。そうした「マネジメント」ではなく、「エコシステム」へと発想を転換することがいま求められているはずです。

メーカーは売れる商材とそのためのサポートを提供し、代理店は顧客基盤や関係性をお互いに提供する。双方が協力することで、新しいサービスが市場に効率的にアクセスでき、お互いの事業が伸びていくはずです。ハイウェイでは、「パートナーエコシステム」の考え方を前提としたPRMツールの提供を始めています。

PRMツール Hiway(ハイウェイ)の機能

弊社が提供するPRMツール Hiway(ハイウェイ)には下記のような機能があります。

  • 企業データベース機能

  • 案件・タスク管理機能

  • チャット機能

  • パートナーポータル機能

  • お知らせ配信機能

企業データベース機能

約500万社の企業データベースを自由に使うことができ、代理店とのターゲットリストの作成やアプローチバッティング防止することが可能です。

案件・タスク管理機能

Hiway(ハイウェイ)のオブジェクト管理機能を活用していただくことで、案件やタスクを代理店と共同で管理することが可能です。

チャット機能

また共同で利用しているパートナーの担当者とチャットなどで直接やり取りをすることができます。

パートナーポータル機能

パートナーと資料やテキストを共有するパートナーポータル機能があり、効率的にパートナーに向けて必要な情報を共有することができます。

また、アクセルログを分析する機能もあり、どのパートナーがどのくらい資料を見ているのかを分析して、パートナーのフォローを効率的に行える機能もあります。

お知らせ配信機能

Hiway(ハイウェイ)のフィード機能を使うことで、パートナーに一括で最新情報を配信することもできます。

パートナービジネスの戦略立案から実行を支えるPRMツールとして、スタートアップ企業からエンタープライズ企業まで幅広くご利用いただいております。

ご興味がある方は、ぜひお問い合わせください。

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