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代理店と具体的な企業リストを突合する「アカウントマッピング」のメリットを解説

ノウハウ

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2023/10/13

代理店と具体的な企業リストを突合する「アカウントマッピング」のメリットを解説

販売代理店やグループ企業など、パートナーシップを結び協業する企業同士でお互いに保有する営業データを提供し、新規にアプローチ可能な顧客を洗い出す作業を「アカウントマッピング」と呼びます。「リスト協業」や「リスト突合」、「アカウント協業」と呼ばれることもあります。

自社にとって相性のよい代理店を開拓する際や、既存販売店との取り組みを活性化する際など、様々な課題に対して行われるアカウントマッピング作業ですが、企業がアカウントマッピングを実施する具体的なメリットについて、5つに大別して解説していきます。

①自社にとって本当に相性の良いパートナー(販売代理店)かどうかを見極められる


まず一点目のメリットは、パートナー契約を提携した相手が、本当にお互いに利益を生み出す相手なのか、その相性を見極めてパートナーエコシステム経由の営業施策をより効果的に進められるようになることです。

パートナーシップを企業において有効活用していくにあたって、大別して3つのステップが存在します。「1.パートナーを見つける」「2.アクティブ化させる」「3. パートナーとの相性を見極める」です。

まず、パートナーセールスを活用しようにも、その肝心の相手が見つからない場合があります。一緒に手を組んで営業活動などを推進しようと思えるパートナーを見つけることが「1.パートナーを見つける」のステップです。

続いて、パートナーが見つかった後、お互いがどのようなデータを持ち、どれだけマッチするか既存顧客のデータを出してアカウントマッピングする段階が「2.パートナーをアクティブ化させる」です。そして、そのパートナーシップがきちんと成果に結びつくよう、具体的な行動を決めてお互いの動きを連動させていきます。


最後に重要なのが、「3. 相性を見極める」のステップです。実際に動いてみると、お互いにイメージしていたパートナーシップの形と実際は異なっており、お互いの狙っている顧客が噛み合わないなどの連動がうまくいかないケースも数多く発生します。そのため、何度も試行錯誤しながら、お互いに成果に結びつくパートナーを見つけていくことが大切になります。


なお、過去にパートナーシップを組んでいても、活発に関係性が動いていないパートナーを「ゴーストパートナー」と呼びます。せっかくパートナーシップ契約を締結しても、その関係性をアクティブにさせる努力を怠るとゴースト化してしまいますが、アカウントマッピングを使えば「もう一度お互いのデータを提供しあい、再度連携しましょう」といった話でパートナーとの関係性を再構築できます。あるいは、パートナー側との相性がよくないケースにおいて、見込みが薄くなったパートナーとの契約をクローズして整理することもできます。

②代理店との取り組みをアクティブ化できる(案件数の増加)


二点目のメリットは、パートナー経由の案件数増加です。パートナーから顧客を紹介してもらう、あるいは相性の良いツールとしてプッシュしてもらうことで、優良なリードを創出できます。

自社が営業でアタックをかけることを検討していたり、商談中だったりする会社が、パートナーの既存顧客であるケースが存在します。その場合、「パートナーから紹介してもらう」、あるいは紹介してもらえなかったとしても、「パートナー企業のツールと弊社のツールを連携すると便利ですよ」と話が進めやすくなる選択肢が生まれます。


また、こうした選択肢が生まれることで、アウトバウンド・インバウンド両者ともに他のリードに比べると「アポが取りやすい」「反応が良い」といった効果が得られ、効率的に営業活動を行えるようになります。これは「アポ獲得率の向上」や「リード獲得コストの削減」とも言いかえられるでしょう。


アカウントマッピングツール・Revealの事例によれば、Revealを使ってアカウントマッピングをしたリードは、コンバージョンが早く、見込み客が増加し、リード単価も下がるそうです。営業の行動量が増加し、質も向上することで、以前より見込みの高いリード案件が出てきやすくなると言います(Payfit社導入事例)。


また、「案件数の増加」という観点では、自社を支援してくれている企業からの紹介にも有効です。いわゆる“パートナー”には、自社に投資してくれているベンチャーキャピタルや、顧問(アドバイザー)なども含まれます。それらのステークホルダーは、自社と利害関係が一致しているので、関係性を持ちたいリードの企業を紹介してくれやすい傾向があります。これによって案件数が増加すると言えるでしょう。


Crossbeamの事例によれば、ID管理・多要素認証サービスを提供するOkta社のCVCでは、投資先の成長支援の一環として、投資先に営業先企業を紹介しています。これまではアナログに行っていたこの紹介作業を、アカウントマッピングツールを活用することで劇的に効率化。投資先にたった2週間で60件もの新規リードを供給できたと言います(Okta Ventures社導入事例)。

③営業進捗率を上げる


三点目のメリットは、パートナー企業経由で顧客の課題を事前に把握できたり、ツールの連携を通じて導入メリットを向上させたりすることで、営業進捗や受注率の向上が見込めることです。


営業が商談中にパートナーの既存顧客であるといった情報がわかれば、それを材料に提案方法のバリエーションが増えます。「このツールを使っているなら、連携させてこういった使い方もできますよ」と、アポや商談時に提案する手札を増やすことができる。


あるいは、顧客の困りごとをゼロからヒアリングするのではなく、パートナーから課題を事前に聞いて状況を把握する。それによって商談の話の質が上がり、結果的に営業の進捗率が向上。各ステップで失注する顧客が減りクロージングまで進むことで、受注率の向上が期待できます。

④契約金額を上げる


四点目のメリットは、パートナーのツールと組み合わせて上位のオプションプランを提案することで、新規・既存顧客ともに契約金額の向上を狙えることです。


パートナーのツールと組み合わせて提案することで、新規案件の場合より上のグレードやオプション付けての契約が可能に。あるいは、既に契約している顧客にもアップセルの提案をしにいくことができます。


Crossbeamの公開事例では、連携しているツールのベンダーと協力し、成約率を66%、年間契約額を10%、更新率を30%向上できたというデータが提示されています(RollWorks社導入事例)。

⑤解約率の低下


最後のメリットは、自分たちとパートナーのサービスを連携して使ってもらうことで、サービスの利活用が促進され、結果的に解約率が下がることです。


アカウントマッピングを用いて、「このツールを組み合わせるとこんな使い方ができます」と提案。パートナー企業と情報共有・紹介しあいながら、自分たちとパートナー企業のサービスを連携して提案していくことで、より顧客にとって定着する提案が可能に。それが結果的に、顧客企業での利用率を高めていきます。


先述したCrossbeamの公開事例のように、パートナーとのツール統合を少なくとも1つ利用している顧客は、そうでない顧客よりも約30%高い割合で利用を更新していると言います。


もう一つのポイントは、オンボーディングまでの時間が短縮できることです。パートナーと連携して、既存顧客のツール利用状況などを情報交換することで、事前に定性的・定量の情報があることでカスタマーサクセス(CS)が円滑に進み、CSにとってのオンボーディングの負荷を減らして短縮化できます。

アカウントマッピングで開示するデータの種類とそれぞれのメリット

それでは、自社・パートナー企業がどのような情報を出せば、いかなるメリットが得られるのでしょうか。ハイウェイでは、その組み合わせを下記のように整理しています。

①自社(A社)・パートナー(B社)ともに既存顧客の場合(左上)

最初に、自社(メーカー)とパートナーがお互いに既存顧客のデータを提供するパターンについてご紹介します。

このパターンでは、各社の既存顧客のデータを提供しあい、お互いに重なりあう、共通してサービスを導入している企業に対して、一緒に連携してソリューションを追加提案します。

メリットは、契約金額が上がることと、解約率の低下です。


連携してソリューションを提供する際、「既に導入している弊社とパートナー企業のツールを繋ぐと、このような使い方ができます」といった提案が可能に。例えば、人事労務システムを提供する企業と、そのパートナーであるタレントマネジメントのSaaSを提供する企業が連携すれば、「人事マスタにタレントの評価データなどをAPI経由で統合し、システムを横断しなくても一括で見れるようになります」といった提案が可能になるでしょう。

お互いの既存顧客にこうした提案を行い、その反応が良ければ、金額がワンランク上のオプションプランを提案し、アップセルの創出が可能になります。

また「解約率の低下」という観点では、ツール同士を連携することで利便性が上がり、導入企業内での定着率が向上。うまく使ってもらえることで、結果的に解約率の低下が見込めます。

なお、契約金額の向上・解約率の低下は、ともにCSチームがKPIを担当することが一般的です(あるいは、アカウントマネージャーが担当することもあります)。したがって、既存顧客 × 既存顧客のアカウントマッピングでは、CSチームが主導となってシステムを活用していくことになります。

②自社(A社)が商談中 × パートナー企業(B社)が既存顧客の場合(左)

続いて、自社が商談中の企業が、パートナーの既存顧客であるケースをご説明します。

この場合、パートナー企業の担当者から、「いま提案を受けていると話を聞きました」「ツール同士が連携できるので、いまの業務がこのような形で改善できます」「よかったら使ってみてください」と商談中の導入をプッシュしてもらうことが可能です。

メリットは、自社の営業進捗率が上がることと、お互いの契約金額の向上です。

まず、自社が商談で「御社が導入している、パートナー企業のツールと連携して使えます」といった提案をできることで、商談先にとっての導入メリットが大きくなります。

とりわけ営業をかけられている側の企業は、競合他社などのツールと相見積もりを取り、「A、B、Cのどのツールを導入しようか」と社内でコンペティションが起こっていることがあります。その際に、「既に導入して社内で使っているツールと相性がよく、連携によって機能が広がる」という点は、導入の意思決定においてプラスに働きます。

また、商談中に「既に導入しているパートナー企業からツールの説明を受ける」といったプッシュを行えば、よりシームレスに導入できるイメージが湧き、優先的に導入が決まる可能性が高くなるとも言えるでしょう。

ここまでは商談中の自社にとってのメリットが主でしたが、既に顧客であるパートナー企業にとっても紹介にはメリットがあります。①で先述したように、パートナー企業同士がお互いに既存顧客になれば、連携プランの提案によって契約金額(提案の総額)を上げることも見込めるでしょう。

③自社(A社)のターゲット × パートナー企業(B社)が既存顧客の場合(左下)

続いて、自社のターゲット企業を、パートナー企業に紹介してもらうパターンです。

これは最もシンプル、かつ、わかりやすく自社に力強いメリットがあるパターンでしょう。自分たちがアタックしたいと思っている企業を、既存顧客としてすでに関係構築ができているパートナーに「紹介してください」と依頼します。

メリットは、最適なパートナーが見つかることと、パートナー経由での案件数の増加です。

まず、パートナー企業とパートナーシップ契約を結んだ直後は、このパターンでのアカウントマッピングを推奨します。なぜなら、「自社のターゲット企業が、パートナー企業の既存顧客である」というケースが多いのであれば、それは相性の良いパートナーだということだからです。

アカウントマッピングを通じて、「私たちはこの企業に提案したいのですが、御社と契約している企業ですか?」と聞くことで、このパートナーと協力しあう(とりわけ営業上の)メリットが大きいことが明確になる。つまり、パートナーシップそのものの価値を算定できます。

そして、相性の良いパートナーを発見できれば、具体的な案件数の増加につながるでしょう。

マーケティング担当者であれば、「いかにリードを創出するか」。営業担当者であれば、「いかに営業進捗を生み出すか」が現場の主な関心事です。そのため、パートナー経由で有力なリードを生み出せたり、営業のアクションに選択肢が生まれたりするのであれば、現場にも「積極的にパートナーシップを活用したい」という意欲が生まれます。

この組み合わせを有効に活かせるならば、営業活動全体を大きく前進させ、自社の売上を伸ばすことができるでしょう。

④自社(A社)の既存顧客 × パートナー企業(B社)が商談中の場合(上)

今度は自社の既存顧客に対して、パートナー企業が現在商談中であるパターンです。

基本的には、パートナー企業から紹介してもらう②とは反対に、自社内にいる既存顧客の担当者が、パートナー企業のツールを顧客に勧めてプッシュすることになります。

「弊社のツールと連携する、良いツールがあります。よろしければ、今度紹介してもよいでしょうか?」と話を持ちかけることがネクストアクションになります。

メリットは、契約金額が上がることと、解約率が下がることです。

既存顧客をパートナーに紹介して、連携するオプションプランの提案を行うことで、現在よりも一段階上のプランの導入が決まり、契約金額を上げられる可能性があります。

もちろん、既存顧客を自社が紹介したからといって、すぐに売上が向上するわけではありません。しかし、他社のツールと連携して使ってもらうことで、少なくとも解約されるリスクを下げることはできます。

自社と全く関係のないツールが導入されるよりも、自社と連携できるパートナー企業のツールを選んでもらうことで、顧客企業はより便利になる。結果的に、自社ツールを他社に乗り換えられるリスクと、解約率が下がると言えるでしょう。

⑤自社(A社)もパートナー企業(B社)も商談中の場合(中央)

自社が商談中の顧客を、パートナー企業も商談中であるパターンです。

この場合は、お互いに商談顧客のデータを提供して共同提案を作成します。同じ企業に対して、自社とパートナーがそれぞれ別で営業提案中であることがわかった場合、「ツール同士を繋げるので、セットで導入した方が得です」といった話ができます。

メリットは、営業進捗率が上がることと、契約金額が上がることです。

パートナー企業と共同で提案とクロージングを行うことで、顧客側の導入メリットが増加し、導入に向けた営業のステップを進めやすくなります。また、連携するオプションプランを提案することで、契約金額の増加が見込めます。

⑥自社(A社)の顧客 × パートナー企業(B社)のターゲットの場合(右上)

自社の顧客企業を、パートナーに紹介するパターンです。

③に対して、こちらはパートナーにとって最も大きなメリットがあります。自社が既存顧客としてすでに関係構築が完了している企業を、パートナーに紹介します。

自社にとってのメリットは、解約率が下がることと、契約金額が向上することです。

④と同様に、既存顧客をパートナーに紹介して、連携するオプションプランの提案を行うことで、うまく決まれば現在よりも一段階上のプランで契約金額を上げられる可能性があります。また、自社と連携しているパートナーのツールを選んでもらうことで、顧客企業はより便利になり、解約率が下がると言えるでしょう。

⑦⑧どちらか片方がターゲット企業 × 商談中の企業の場合 (右・下)

自分たちの商談している企業に、パートナーのターゲット企業を紹介する/自分たちのターゲット企業を、パートナー企業が商談中に紹介してもらうケースです。

例えば、自社の提案中にパートナーが営業をかけたがっていたら、「うちのツールと相性がいいのでよかったら話を聞いてください」と繋ぎます。

ただし、このケースは営業に技量や顧客からの信用が必要なので、難易度は高いと言えます。したがって、実際に起こる場合は少ないと言えるでしょう。

わかりやすいメリットとしては、営業進捗と契約金額の向上です。自社、あるいはパートナーが提案中の企業から、自社だけでは満たせない機能のニーズを相談されていた場合は特に有効で、パートナー同士のツールを一緒に提案することで、顧客にとって「トータルで提案できる自社」という印象を与えられます。

例えば、自社が人事システムを提案している時に、顧客から「タレントマネジメントシステムも検討したい」と要望が出てきたとします。その場合、商談中でもパートナー企業のツールを「このツールと連携可能です」といって提案することで、契約金額の向上も見込めるでしょう。

⑨お互いにターゲット企業の場合(右下)

お互いのターゲットリストを照合し、重なる場所に共同で新規開拓をしにいくパターンです。

メリットは、アカウントマッピングを通じてお互いの相性の良さがわかり、最適なパートナーが見つかることです。

ターゲット企業同士が被った時は、お互いに共同でマーケティングする話になります。具体的なアクションとしては、共催セミナーを開催し、お互いにとってメリットのある顧客を集める、といったことが考えられます。

ただし、相性の善し悪しは判断できても、その瞬間でのアクションには結びつきづらい側面もあります。他の連携方法は営業担当が動けばすぐに成果に繋がりやすいですが、共同マーケティングはどちらかといえば戦略立案に重きを置き、その後は長い時間をかけて提携を行っていくことになります。

データ提示の方法により、多様な選択肢が生まれる

アカウントマッピングのメリットは、自分たちが提示するデータの属性によって変わります

例えば、相手に関わらず、自社の既存顧客のデータを提示することによってメリットが大きいのはCSです。それによりKPIである解約率の低下やアップセルによる契約金額の向上といったメリットが見込めます。

また、商談中の顧客データを自社が提供することで得られるメリットは、営業進捗率アップと契約金額の向上。現場の営業に新たな選択肢を創出できると言えるでしょう。ターゲット企業のデータを出す場合は、最適なパートナー経由の案件を発見・創出し、案件数の増加が期待できます。

これまでアライアンスとして製品同士を繋いではいるけれども、ゴースト化しているパートナー企業がいれば、改めてアカウントマッピングを実施することで「これが一緒にできるかもしれませんね」とパートナーとしての関係性を再構築することもできます。

ハイウェイが提供するアカウントマッピング機能

ハイウェイは、日本国内で唯一アカウントマッピング機能を提供しているPRMツールです。約470万社の企業データベースとAI名寄エンジンを活用し、販売代理店とターゲットリストの突合や、お互いの接点のある顧客の情報を細かな権限設定のうえで共有・マッピングすることが可能です。セールスフォースなどお使いのSFA/CRMツールとの自動データ連携もできるので、自社にとってのホワイトスペースや、アプローチNG企業をリアルタイムに代理店に共有し、代理店同士のバッティングも防止できるようになっています。

代理店との取り組みを活性化させたい企業様や、アカウントマッピングを活用することで最適なパートナーを見極めたり、既存の代理店プログラムの整理を行いたい企業様は、是非一度ハイウェイの製品デモにお問い合わせください。

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Fumitaka Kubo

株式会社ハイウェイ Co-fonder CEO

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